料理の隠し味として意外な材料を使うと味が冴える

料理の味に物足りなさを感じるときには、意外なものを隠し味として加えると、味が冴えることがよくあります。
基本の五味をしっかりと把握して、足りない要素がある場合には補うことが基本です。
甘いスイカに対しては塩を少しだけ加えると美味しくなる仕組みと同様ですから、このようなアイデアを応用すると新たな方法も考案できると思いました。

 

米に由来する強い旨味があり、わずかな苦味も有する酒粕は、乳製品を使った料理との相性が特に素晴らしいです。
板粕では固すぎるため、石臼で挽いてペースト状になった酒粕を使うことが欠かせません。
この酒粕を大さじ1杯ほどの分量でクリームシチューに加えると、全体的に乳化した状態に変化して、抜群のコクが生まれます。
生クリームにも負けないほどの旨味がありますが、酒粕には乳脂肪が含まれることがないため、カロリーを抑えるためにも役立っています。

旨味成分のグルタミン酸を多く含むトマトは、和風ダシとの相性がよいことに着目して、味噌汁の隠し味としてトマトケチャップを使う方法も試してみました。
これは本当に意外な組み合わせであり、通常であれば敬遠したくなるのが普通です。
ところが、トマトケチャップのグルタミン酸は鰹節の旨味を構成するイノシン酸と調和して、コクが相乗的に高まるようです。
料理の隠し味として加える程度であれば、トマトの酸味が際立つことがないのも利点です。

肉料理の隠し味として、マヨネーズを使うことも試してみましたが、これも意外な方法でありながらも美味しさが抜群でした。
マヨネーズの旨味は卵黄や酢によって構成されているため、焼肉のタレに加えれば素晴らしいコクが生まれます。
豊かな酸味が脂っぽさを軽減して、後味も爽やかな料理になるようです。

サラダのドレッシングの中には、隠し味として煮切り酒を入れると美味しさもアップします。
酒をそのままの状態で使うと、アルコールの影響が強く出てしまいますが、煮切り酒を隠し味として使えば旨味だけを付け足すことができます。
これも意外な方法ではありますが、日本料理の伝統的な技法の一つを洋風料理で応用してみました。

デザートとして洋風のケーキを作る際には、紫蘇入りの梅肉を隠し味として加えると、特有な芳香と酸味が絶妙に調和します。
梅干しを加えることは意外ですが、赤紫蘇はハーブの一種でもあるため、洋風のケーキに加えても無難に調和します。
この方法を応用して、パンケーキの生地にも隠し味として紫蘇梅を加えると、和洋の個性が調和したデザートに早変わりします。