少子高齢化と老後の年金支給額。その大きな関わりとは?

日本の公的年金の給付額を決定するとき、過去には「賃金スライド」と「物価スライド」という2つの方法をとっていました。
「賃金スライド」「物価スライド」とは、世の中全体の平均賃金・物価の変動に応じて年金給付額が増減する制度です。
この2つの方法を用いた場合では、物価や賃金が上がったとき合わせて年金支給額も上がります。
しかし現在は・・・

 

【公的年金支給額決定のしくみ】

現在の日本では極端な少子高齢化が進行しており、公的年金のシステム上、現役世代に保険料の負担増加を依存せざるを得ません。
その一方で、年金受給者である高齢者に対しては、年金支給額を抑制していくことが必要であるという両者から見た考えを採用し、平成12年、賃金スライドをやめ物価スライドのみとする法改正がありました。
続く平成16年、物価スライドを取りやめマクロ経済スライドという制度を取り入れるという法改正がありました。
マクロ経済スライドとは、公的年金の加入者数の減少率と平均余命の伸び率に応じたスライド調整率で年金支給額の上昇を抑えることを言います。
なぜ物価スライドを取りやめてマクロ経済スライドを導入したのか。
それは、国の財政が破たんしないようにするためです。

【マクロ経済スライドとは】

年金受給者と保険料を負担する現役世代との人口バランスで、受給者の割合が多くなれば年金の原資が不足し財政が赤字化していきます。
これを避けるためには、出生率を上げて現役世代を増加しなければなりません。
しかし出生率を上げるというのは簡単なことではなく、現役世代の人口増加がかなわない場合は、年金受給者への支給額を抑えることが必要になります。
年金受給者と現役世代の人口バランスの割合、平均余命を年金受給者の給付額調整に取り入れるというのが、マクロ経済スライドの考え方です。
マクロ経済スライドのスライド調整率は、2025年まで平均0・9%になっています。
スライド調整率0・9%とはどういう意味かというと、仮に世の中全体の物価が0・9%上がったとしても年金支給額は上がらないということです。
物価が1・9%上がった場合は、調整率の0・9%を引いた1%アップした年金額が支給されるという計算です。